インナーブランディングの成功事例。グループ29社の結束を生んだ社内ポータル刷新の裏側

インナーブランディングを進める中で、「社内に一体感が生まれない」「社内ポータルを導入したのになかなか使ってもらえない」と頭を抱える担当者は少なくありません。とくに複数の拠点やグループ会社を抱える組織では、情報の断絶が大きな壁となります。
本記事では、弊社シフトが社内ポータル制作で関わったセガサミーホールディングス様の成功事例を紐解きます。
ご承知のとおり、同社グループは国内29社を擁するエンターテインメントの雄。巨大な組織でありながら、共通の社内ポータル構築により、わずか3年で1日あたりの平均PV数を倍増させ、従業員の約8割が毎日訪れる「業務に不可欠な場」を作り上げました。
単なる情報共有を超え、組織のシナジーを生むための「仕掛け」や「システム選び」とは何だったのか。あなたの会社のインナーブランディングを進めるヒントをぜひ探してみてください。
なお、弊社シフトの社内ポータルサイト制作サービスについて、詳しく知りたい方はこちらから資料をダウンロードできます。ぜひご覧ください。
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目次
インナーブランディングを成功させる条件

インナーブランディングは、社員一人ひとりが企業の価値観を自分事として捉え、自発的に行動を変容させてこそ成功と言えます。
ここでは、インナーブランディングを形骸化させずに成果を出すための4つの必須条件を解説します。
押し付けるのではなく「巻き込む」
理念やビジョンは、経営層から一方的に「降りてくるもの」になりがちです。しかし、トップダウンの押し付けは現場の心理的離反を招きます。
インナーブランディング成功の鍵は、社員を「管理の対象」や「傍観者」ではなく「当事者」にすることです。そのためには「会社が決めたこと」を「自分たちが関わって決めたこと」へ昇華させるプロセスが必要で、これが納得感を生み「自ら動く組織」の下地となります。
社員の巻き込みで、ありがちな失敗パターンの回避について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
※関連記事:【初心者向け】インナーブランディングとは?意味やアウターとの違いをわかりやすく解説
現状に合った目的を設定する
インナーブランディングの失敗で多いのが、「なんとなく社内を活気づけたい」といった曖昧な目的設定です。現在の組織課題や成長ステージに根ざした、具体的かつ現実的なゴールを持つことで、インナーブランディングは成功に近づきます。
とはいえ、いきなり自社の目的をゼロから設定するのは大変です。以下の記事では、会社のステージや業種別にインナーブランディングの目的の例を紹介しています。こちらを参考に考えるといいでしょう。
※関連記事:インナーブランディングの目的とは?経営戦略としての「内側への投資」が最強の差別化を生む理由
適切な手法とツールで施策を進める
目的が決まったら、それを届けるための「手段」を最適化します。職種や働き方(リモート、現場作業など)によって、最適なツールは異なります。社員の日常の動線に組み込めるツールを選定することが重要です。
手法とツール選びのポイントについては、以下の記事で解説しました。詳しく知りたい方は、こちらも合わせてどうぞ。
※関連記事:【完全版】インナーブランディングの手法・進め方ガイド|成功に導く戦略と効果測定の全ステップ
「接触頻度」を担保する
エビングハウスの忘却曲線(※1)が示すとおり、人は時間が経てば忘れる生き物です。したがって、社員が企業の理念や取り組みに、日常的に触れられる「仕組み」や「場」を作らなければなりません。何度も繰り返し触れることで、企業の価値観は少しずつ「知識」から「習慣」へと変わっていきます。
これについては、「ストック」と「フロー」のコミュニケーションツールをうまく組み合わせて使うことで実現できます。そのあたりも含め、以下のセガサミー社の事例を読み進めてみてください。
※1 エビングハウスの忘却曲線:ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが提唱した、「時間の経過とともに、人間の記憶がどのように失われていくか」をグラフ化したもの。一度学習した内容も、20分後には約42%を忘れ、1日後には約67%を忘れてしまう。
【実践】インナーブランディングにおける「共通プラットフォーム」の重要性

インナーブランディングを推進する上で最大の障壁となるのが、組織間の「コミュニケーションの分断」です。せっかく素晴らしい経営理念やビジョンを掲げても、それが従業員に届くルートがバラバラでは、グループとしての連動性は生まれません。
セガサミー社が直面していたのも、まさにこの課題でした。
拠点集約後も残った「デジタルの壁」
2018年、同社グループは国内の多くの本社拠点を1カ所に集約。物理的には同じフロアで顔を合わせて仕事ができる環境が整ったものの、社内ポータルサイトは各社ごとに独立したままという状況が続いていました。
したがって、全社共通の重要方針を発信する際には、29社それぞれの担当者に各社サイトへの転載を依頼しなければなりません。情報の伝達性という面でも、作業効率という面でも、改善の余地がありました。
「場所」の次は「情報」を集約する
セガサミー社はこの課題を解決すべく、グループ全体を貫く「共通の社内ポータルサイト」の構築に踏み切りました。
インナーブランディングの視点で見ると、プラットフォームの統合は単なる効率化ではありません。「自分たちは一つのグループである」という視覚的な統一感を与え、情報の格差をなくすことで、組織全体のエンゲージメントを底上げする「基盤」となるのです。
物理的なオフィス移転と同様に、デジタル上の「情報の居場所」を一つにまとめることが、組織文化を醸成する第一歩となります。
【具体例】従業員が「毎日訪れたくなる」仕掛けの作り方

せっかく高機能な社内ポータルサイトを構築しても、従業員に見てもらえなければインナーブランディングは始まりません。セガサミー社がいかにして「日常的にアクセスされるサイト」へと育て上げたのか、その具体的な3つの仕掛けを紹介します。
1. 業務動線とサイトを「不可分」にする
「見に来てほしい」と願うだけでなく、「見ざるを得ない」仕組みをデザインしたのが大きなポイントです。
- 業務の入り口化
「何か業務を始めるときは、まずポータルを開く」という動線を作ることで、無意識のうちに経営メッセージや社内の最新トピックが目に触れる環境を構築しています。 - 必須業務の機能を集約
勤怠入力や経費精算など、全従業員が日々行う必須業務の機能をポータルサイト内に集約しました。これにより、「社内ポータル=重要なもの」と意識されます。
2. 「硬い情報」と「柔らかい情報」のほどよいバランス
役員からのメッセージや社内規程といった「硬い情報」だけでは、サイトは無機質なものになってしまいます。これでは、誰も見に行きたいと思ってくれません。
そこでセガサミー社では、経営からのメッセージや自社の株価情報のほか、新たにグループのコミュニケーションにつながるイベント情報を掲載できるページを作成するなど、従業員の興味を惹きつけるコンテンツを戦略的に配置しました。
3. 感情を揺さぶる「動画コンテンツ」の活用
テキスト情報の限界を突破するために、同社が注力しているのが動画による情報発信です。
- 熱量を伝える
社長メッセージを動画で配信することで、テキストでは伝わりにくいニュアンスや情熱をダイレクトに届けます。 - 相互理解の促進
2021年から2023年にかけて動画本数を約1.7倍(142本→237本)にまで増やし、事業紹介番組などを通じて「隣の会社が何をしているか」を可視化。
動画は視聴ハードルが低く、情報の浸透スピードを速める強力な武器となりました。
以上のように社内ポータルを活用することで、「押し付け」をすることなく、インナーブランディングが進んでいます。社内ポータルを「日々の業務を便利にし、自社グループ内への興味を喚起する場」として機能させたことが、成功の分岐点と言えるでしょう。
インナーブランディングの成功を加速させた「運用面」の3つのポイント
セガサミー社の事例で特筆すべきは、システムを導入した後の「運用の持続性」に徹底的にこだわった点です。
インナーブランディングを社内に根付かせるための、システム運用における3つの秘訣を紐解きます。
「誰でも更新できる」圧倒的な操作性
どんなに立派なサイトでも、更新にITの専門知識が必要であれば、使用は一部の人に限られ社内ポータルは形骸化してしまいます。セガサミー社がこれを回避できた要因は以下の2点です。
- ITの専門性の排除
セガサミー社が導入したCMS「SITEMANAGE」は、管理画面が直感的で、マニュアルを読み込まなくても感覚的にページ作成が可能でした。 - 分権型の運用
広報や総務といった特定の部署だけでなく、各部署の担当者が自ら記事を投稿し、閲覧数の確認までできる環境を整えました。これにより、グループ29社から多種多様な最新トピックスがスピーディーに集まる「活きたメディア」となったのです。
「反応の可視化」による発信者のモチベーション向上
インナーブランディングにおいて盲点になりがちなのが、「発信者側の熱量」をどう維持するかです。これについては、以下のような工夫がなされました。
- PV数の公開
管理画面上で、記事ごとの閲覧数を誰でも確認できるようにしました。 - PDCAの自走
「自分の記事がどれだけ読まれたか」が数値で分かれば、担当者は「次はもっと魅力的なタイトルにしよう」「画像を見やすくしよう」と自発的に工夫し始めます。
Googleアナリティクスでもサイトのデータは見られますが、Googleアナリティクスを読み解くにはある程度の知識が必要です。その点SITEMANAGEは、あくまでも管理画面上で自分の掲載した記事の効果が確認できる分、ハードルが低くなっています。
Googleアナリティクスのような専門知識がなくても、誰もが「読まれる工夫」を議論できる土壌が整いました。
柔軟かつシンプルな「権限管理」の設計
多角的な事業を展開するグループ企業ならではの悩みが「情報の出し分け」です。誰に、どんな情報を、どこまで公開するのか。この点についても、シンプルに管理できるようにしました。
- 組織構造への最適化
「全社公開」の情報と、「特定の会社・部署限定」の情報をシステム上で明確にコントロール。CMSで使うアカウントのグルーピングや権限を組織構造に合わせました。 - ルールのシンプル化
構築段階で開発パートナーである弊社シフトと議論を重ね、「シンプルかつイレギュラーな対応もできる柔軟な権限設定」への落とし込みに成功しました。
インナーブランディングの成果:定量・定性データ

施策の効果を社内で証明し、さらなる投資や協力を引き出すためには、客観的な成果が欠かせません。セガサミー社の社内ポータルサイト構築後の「ビフォー・アフター」を見ていきましょう。
定量成果:PV数が3年で「2倍」に伸長
サイト構築当初から、コンテンツの充実と使い勝手の向上を積み重ねた結果、数字として顕著な成果が表れました。
- 平均PV数の推移
サイト発足当初の約2万PVから、3年で4万PV以上へと倍増。 - 高いアクティブ率
全従業員の約70〜80%が毎日訪れるという、社内メディアとしてはかなり高い接触率を記録しています。
これは、ポータルサイトが単なる「掲示板」や「広報」ではなく、従業員の「生活インフラ」として定着したことを物語っています。
定性成果:組織の「スピード」と「シナジー」の変革
数字に表れにくい「組織の質的変化」にも目を向けてみます。ある意味、インナーブランディングの本質的な価値が現れるところです。
- 重要情報の「即時浸透」
かつては各社への転載依頼が必要だった重要通達も、一斉発信が可能に。コロナ禍における職域接種の案内や緊急事態宣言への対応など、スピードが命となる局面でその真価を発揮しました。 - 「隣の会社」が自分事になる
グループ報や事業紹介動画を通じて、普段接点のないグループ会社の活動が可視化されました。「あんな取り組みをしているのか」という相互理解が、会社をまたいだ新しいシナジーを生む土壌を耕しています。 - 発信文化のブラッシュアップ
「PV数が見える」ことで、各社の広報担当者が「どうすればもっと伝わるか」を自発的に追求するようになり、情報発信の在り方もグループ全体でブラッシュアップされてきました。また、テキストメインから、デザイン性の高い記事や動画へと表現手法が進化し、グループ全体のコミュニケーション能力が底上げされています。
リファラル採用の増加や社員の明らかな行動変容など、インナーブランディングの効果が目に見えて現れるのはまだ先かもしれません。しかし、そこに近づく基盤は整ったと言えるでしょう。
まとめ:自社のインナーブランディングを成功させるために
セガサミー社の事例から見えてきたのは、インナーブランディングの成功は「ツールの導入」だけではなく、その先にある「従業員の日常への溶け込み」にあるということです。
インナーブランディングは、組織の「OS」を少しずつ書き換えていく地道な作業です。しかし、セガサミー社のように「使いやすさ」と「数値による振り返り」を両立させつつ、社内で発信される情報への接触頻度を高めることで、従業員が誇りを持って自発的に動く組織へと変化を促すことができます。
「社内ポータルはあるが、ほとんど見られていない」「グループ間の連携をもっと強めたい」とお悩みなら、まずは「現場が使いやすく、成果が見えるシステム」への刷新を検討してみてはいかがでしょうか。
社内ポータルサイト制作のご相談は、以下のリンクより承っております。「何から始めればいいかわからない」という段階でも大丈夫です。一緒に整理しながら進めますので、お気軽にご相談ください。
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