
福岡県内の小学校を中心に、教材や学用品の販売を長年にわたって担ってきた福岡県教育用品株式会社。1956年に学校生活協同組合から分離独立して以来、半世紀以上にわたり児童・生徒が使用する教材、教具及び体操服や水泳用品等の販売を手掛けています。
注文内容の書かれた封筒や注文書を配布し、現金を封筒に入れて提出する「集金袋」による運用は、学校・保護者・販売店それぞれに負担がかかります。さらに社員の高齢化も見据え、SITEMANAGEを導入しました。「このシステムがなかったら倒産していたかも」と語る福岡県教育用品株式会社 代表取締役の萩尾様に、導入や開発にまつわるエピソード、リリース後の成果などを詳しく伺いました。

サイト紹介
福岡県内の小学校で使用される学用品を、学校・企画ごとに二次元コードでアクセスするクローズド型ECサイトとして構築。学校で配布されたチラシの二次元コードからアクセスすると、対象の学用品のみが表示され、保護者は自宅からキャッシュレスで購入できます。
主な機能
- 学校・企画単位でサイトを生成できるクローズド型EC構成
- 二次元コードで読み込むと必要な情報だけを表示する仕組み
- 商品情報をベースに、企画ごと(学校や時期ごと)に販売内容を切り替え可能
- 現金・クレジットカード・PayPay・楽天ペイ・代引きに対応
- 基幹業務システムと連携した売上・入金データ管理
- 個人宅への個配送に対応(伝票への個人情報自動反映)
子どもに大金を預けるリスクや先生の負担を軽減したい
―まずは、福岡県教育用品株式会社の事業内容をご紹介いただけますか。
萩尾様:福岡県全域の児童・生徒が使用する教材、教具及び体操服や水泳用品といった学用品を販売しています。代表的な教具では、新入学用品の『算数セット』や『夏休みの友』などです。学校現場の先生方や保護者の皆様からのご意見を参考にし、体操服やスクール水着等の商品開発にも日々取り組んでいます。
福岡市内の本社と筑紫支店のほかに、10以上の代理店と連携。時代やニーズに合わせた学用品の提供を通して、子どもたちの健やかな成長に貢献できるよう、社員一同尽力しています。
―ECサイトを立ち上げることになった経緯を教えてください。
萩尾様:学用品を購入いただく際、子どもたちが封筒に現金を入れて学校に持参するのがこれまでの流れでした。学用品を多く購入するのは、入学したばかりの小学1年生。数ヶ月前まで保育園・幼稚園に通っていたお子さんに大金を預けるのは、保護者の方から見ても、学校の先生方から見ても、大きな心理的負担になっていたと思うんです。
先生方にとっては、集金業務そのものが業務負担になるだけでなく、金額の間違いや紛失といったリスクとも常に隣り合わせです。販売店側も、現金管理や回収、事後の確認作業に多くの時間と人手を割いてきました。こうした負担を解消するために目を付けたのが、キャッシュレス決済です。
―ECサイトの開設にあたり、どのような基準で会社やサービスを比較し、何を決め手としてSITEMANAGEを選びましたか。
萩尾様:当社と同じように、学用品を販売している企業の集まりに行き、何社かの制作会社の方と出会いました。どの方も一般的なECサイトを提案してくださるのですが、学用品は県内で統一されているものではなく、学校ごとの商品管理や販売時期の厳密な管理、既存の業務フローとの整合といった、学校用品ならではの要件を満たすことは容易ではありません。また、他社では初期費用を抑えて運用費を継続的にお支払いするスタイルが多く、私の思いとマッチしませんでした。
そんな時に出会ったのがシフトの久原さん。学用品販売業界特有の事情を理解してくれ、“学校用品販売に適した仕組み”を一緒に考えてくれるパートナーだと思えました。また初期費用はかかるものの、リリース後のランニングコストが他社より低かった点も決め手です。
久原:最初に、学用品販売の「封筒」の話をしてくださったのでスムーズにイメージができました。また、萩尾社長の購入者や現場の先生方のことを考える熱い気持ちに胸を打たれ、「負担を軽減するお手伝いがしたい」と思ったのを覚えています。
業界特有の複雑な仕組みを理解し、10ヶ月でリリース
―SITEMANAGEを使って、どのようなサイトを制作されましたか。
萩尾様:学用品販売のECサイトですが、一般的なECサイトとは少し違います。たとえば体操服は、学校によってロゴが入っているなどデザインや金額に違いがありますよね。だからこそ、すべてがオープンになったECサイトではなく、対象の学校や商品ごとに二次元コードでアクセスしていただく形をご提案いただきました。学用品の注文封筒と同じようなイメージです。あらかじめリスト化された商品を対象の方に提示し、それらの中から欲しいものを購入していただきます。
2020年10月にリリース後も徐々にアップデートを続けており、導入当初の支払い方法は現金とクレジットカードのみでしたが、PayPayや楽天ペイ、代引きにも対応しています。2025年からは学校への納品だけでなく、購入者の自宅へ届く個配送も開始しましたし、コーポレートサイトも制作していただくなど、全面的にサポートしていただいています。
―開発のキックオフから公開までは、どのような流れでしたか。
久原:2020年1月頃に導入を決めていただき、2020年10月にサイトをリリースしました。東京と福岡で距離がありましたが、対面での打ち合わせも行いながら、営業や経理の方とはオンラインで何度もヒアリングをしたのを覚えています。
萩尾様:私は詳しいことはわからないから、「こうしたい」という夢みたいな話をさせてもらって。それを、システムに詳しい当社の常務がメインになって進めてくれました。当社の社員だけではなく、県内にある代理店には高齢の社員の方もいます。その方たちでも使いやすいシステムにしてほしかったので、いろんな部署の方の要望や業務を聞き、理解してくださったのが助かりましたね。
―開発において、重視したことは何ですか?
萩尾様:第一にユーザーの皆さんが使いやすいこと。体操服を例に挙げると、サイズのわかりやすさなどの「ユーザーインターフェース」の部分は意識しました。シフトさんには「現場で働く社員たちが使いやすいように」という私の思いを汲んで、いろんな社員へのヒアリングを丁寧していただきました。
沼尻:システムを制作するうえでは、いくつか工夫した点があります。まずは、どの情報をどの学校の保護者様に、どの時期にお見せするのかという点です。学校で配布されたチラシの二次元コードにアクセスすると、膨大な商品の中から必要な情報だけを見せられるようにしなくてはいけませんでした。私たちはこれを「企画」と呼び、「企画」単位でサイトを増やせるように設計。ベースとなる商品情報を1度登録すれば、「企画」ごとに商品を選択して簡単にサイトやQRコードがつくれるようにしました。
久原:そうですね。当時の常務がご自身で撮影されたハンバーガーの写真を使って何度もテスト登録をしてくださって、とても協力的で進行しやすかったです。
沼尻:社長が描いた夢を常務が肉付けしてくださって、本当に助かりました。それと、もともと社内で使用されてた基幹業務システムとのデータ連携は、当社としても初めての試みでした。売上明細の出力や入金明細の取り込みなど、フォーマットに合わせた調整が必要で、ヒアリングや仕様の整理に苦戦したのを覚えています。どの部分まで自動化するのか慎重に判断し、営業の方の負担を少しでも減らせる仕組みを考えました。
萩尾様:それでいうと、最初は「自分の負担が増えるんじゃないか」とシステム導入に消極的な営業社員もいました。しかし、リリースから数年経った頃、「もうこのシステムがないと無理です」と言ってもらえて、導入してよかったなと改めて思いました。
深夜残業がなくなり、売上も向上
―リリースから約5年が経った今、どんな成果を感じられていますか。
萩尾様:大きく変わったのは働き方です。新入生の入学時期は、いろんなエリアで一斉に販売会があり、アルバイトを雇って対応し、売上金を持って帰社した後に在庫や売上の管理をしていました。昔の話にはなりますが、0時を回る日々が続いていた時期も正直ありました。
今は学校の先生にチラシを配りさえすれば、保護者の皆さまが自分のいいタイミングで購入してくださる。残業が大幅に減り、今後高齢の社員が増えた時にも安心して経営ができる状態になりました。
業務が効率化したおかげで視野が広がり、いろんなことにチャレンジできる余白ができましたね。
久原:2025年からは、学校ではなく個人のお宅へ納品をする「個配送」もスタートしましたよね。
萩尾様:個配送に乗り出した一番の理由は、販売会で見た保護者の姿がきっかけでした。新小学1年生向けの販売会には小さなお子さんのいるパパママも多く、かじかむ手で重い学用品を持って帰る姿を見て、どうにかしてあげたいと思ったんです。
久原:温かい思いが起点になっているので、私はもちろん、関わるスタッフ全員が「少しでもお力添えができたら」と思っています。
沼尻:本当にそうですね。個配送の際には、今までなかった個人情報の入力が必要となり、システムも改善させていただきました。社内での負担が少なくなるよう、宅急便の伝票にそのまま個人情報が印刷される仕組みです。
萩尾様:配送作業は楽ではありませんが、発送作業も楽になりました。保護者様の負担を減らすために宅配業者と連携し、2,000円以上は送料無料なんです。それでも、販売会でのアルバイト代と比べると、利益が出るくらい。学校を経由して学用品の販売をしていた頃は、返品や交換には学校の先生に対応していただいていましたが、個配送にしたことで、その負担もゼロになりました。今は、児童も、保護者の方も、先生も、そして私たちもみんなにとっていい仕組みができたと感謝しています。
久原:この仕組みから一緒に作れたこと、そして5年かけて育てていけたこと、私どもも本当に嬉しく思います。
萩尾様:少子化の時代ながら、売上も2~3割上がりました。先生方には当社で制作したチラシを児童へ配布していただくだけでいいので、導入のハードルが下がったからです。

―運用やCMSの操作にはすぐに慣れることができましたか。
萩尾様:私自身が操作することはないのですが、社員たちはスムーズに取り組めたようです。企画ごとにサイトを作るというと難しく聞こえるかもしれませんが、チェックを入れるだけで簡単に商品が選択できるようです。各エリアの代理店担当者の問合せにも個別で対応いただけるなど、導入後のフォローも手厚かったことも、すぐに活用できた理由だと思います。
―約5年、SITEMANAGEをご利用いただき、どのように評価されていますか。
萩尾様:大げさな話ではなく「このシステムが無かったら倒産したかも」と思うこともあります。コロナ禍ということもありましたし、1番は代理店が急に撤退したこと。注文書による現金集金のみだったら、注文内容も分からずに児童や保護者にも迷惑をかけていたかもしれませんし、入金が追いつかず経営が揺らいだかもしれません。それに、個配送などのサービスに踏み出すこともできなかったと思っています。
この仕組みを活かして、福岡から九州へ広げたい
―今後、SITEMANAGEをどのように使っていきたいですか。

萩尾様:リリースから5年かけて個配送の仕組みができたことで、福岡県以外にも販売エリアを広げることが可能になりました。最近も他県の同業者が倒産したのですが、そうなった時、1番困るのはそのエリアに住む児童や保護者の方です。そんなピンチの時にこの仕組みを知っていただければ、ご自宅に学用品を届けることができ、安心して新学期を迎えていただける。こうして社会に貢献していけたらと思っています。
―今後、SITEMANAGEをどのような企業へ勧めたいですか。
萩尾様:私たちと同じような課題を抱えている地域や事業者は、決して少なくありません。未だに以前の私たちのように、繁忙期は深夜作業に追われている同業者の方もいるんです。学用品のように、集金や販売方法に課題を感じている方、人手不足や社員の高齢化で事業の継続に不安を感じている方に、ぜひ活用していただきたいと思っています。
じっくり話を聞いて理想の仕組みづくりから寄り添ってくれるので、私のようにシステムに詳しくない方でも頼れるパートナーになってくれるはずです。
担当者からコメント
リリースから5年以上が経過しましたが、これまでコンスタントに機能改修を重ねてきたことで、売り上げの増加や業務負担の軽減につなげることができ、大変嬉しく思っています。
今後も引き続き改修を重ねながら、保護者の皆様にとってより使いやすく、管理者の皆様にとっては運用効率を高められる仕組みを模索し、サイト面・システム面の双方から、より良いサービスとなるよう尽力してまいります。
具体的なシステムイメージをお持ちでなくても、「こうしたい」という想いをお聞かせいただければ、私たちが形にします。
ぜひお気軽にお問い合わせください。








