CMS乗り換えで作業時間を7割短縮!直帰率が改善し、EC送客力を高めた園芸情報サイトに

プラム型のミニトマト「アイコ」や青肉ネット系メロン「アンデスメロン」など、数々の人気品種を世に送り出してきた国内最大手種苗メーカー・株式会社サカタのタネ。同社が運営する園芸情報サイト「園芸通信」は、記事検索や一括修正ができない旧CMSの制約が運用上の課題となっており、2025年にSITEMANAGEを導入してリニューアルしました。
導入前は2000本以上の記事を抱えながらも、CSVによる一括更新ができず、修正やリンク強化に多大な時間を要していたといいます。リニューアル後は直感的に使える管理画面と柔軟な機能によって作業効率が大幅に改善。さらに関連記事表示などによりEC送客数の増加や直帰率も大きく改善しました。国内営業本部セールスプロモーショングループの内田様に、リニューアルの背景や制作時の工夫、具体的な成果について詳しく伺いました。


サイト紹介
家庭菜園やガーデニングを楽しむユーザーに向けて、栽培方法や品種の特徴などを紹介する園芸情報サイト「園芸通信」。SEO対策で新規ユーザーを獲得し、ECサイトへ送客します。
主な機能
- CSVによる一括更新機能(ECリンク差し替え、記事修正対応)
- 管理画面のメニュー配置や色のカスタマイズ
- レシピランキングの設定
- スマホ先行のUI設計(文字サイズ・ボタンサイズ調整)
- おすすめ記事の設定
- 記事内の関連製品(ECサイトへの導線登録)
- 用語集内に別の用語が使われていたら自動でリンクになる
目次
旧CMSで積み上がっていた“探せない・直せない”課題
―まずは、サカタのタネについてご紹介いただけますか。
内田様:サカタのタネは、ミニトマトの「アイコ」をはじめ、ニンジンの「ベーターリッチ」やスイートコーンの「ゴールドラッシュ」などの人気品種を生み出してきた種苗メーカーです。ブロッコリーは65%、トルコギキョウは80%(※)の世界シェアを占め、世界170か国以上に向けてタネを販売しています。
「園芸通信」は、10年前に園芸啓発と社名認知を目的として立ち上げた園芸情報サイトで、現在はEC送客の役割も担っています。利用者は30〜60代と幅広い上にシニアの割合も高く、スマホ比率が75%を超えました。
(※)サカタのタネ様調べ 2025年5月31日現在
―リニューアル前は、どのような課題がありましたか。
内田様:旧CMSではCSVが使えず、一括修正ができませんでした。2000本近くの記事がある中で表記を統一しようと思っても、一つひとつ対応するしかなかったんです。管理画面も記事タイトルでしか検索できないため、商品の入れ替えやリンクの修正をまとめて行いたいときでも、1件ずつ探して直すしかなくて。検索結果が出てくるのも遅く、なかなか作業が進みませんでした。
フロント側も同じで、検索機能がなく「探しにくい」という声がユーザーからも寄せられていました。Googleの有料サービスを導入して一時的に補っていましたが、サービスが廃止になってしまい、抜本的な改善ができなかったんです。
さらに予約公開の手順が複雑すぎて使えず、毎週火曜に手動で更新していました。火曜が祝日だと前倒しや後倒しの調整が必要で、長期連休のときは公開日を大幅にずらすなど、とにかく手間がかかっていました。
導入の決め手は「操作性」と「提案力」
―SITEMANAGEを選ばれた理由を教えてください。
内田様:展示会などで多くの会社を見ましたが、シフトさんの会社案内や自社サイトがとてもわかりやすく「UIも直感的で使いやすいのでは」と感じたんです。実際にいただいた提案資料も的確で、短期間でデザイン案まで仕上げてくださいました。
現在はEC送客がサイトの重要な役割を担うようになったので、EC部門の担当者にもコンペに参加してもらい「シフトさん一択ですね」と言っていました。ほかの会社は課題に対しての解決率や費用面でも腑に落ちない部分があったのに対し、シフトさんは説明がわかりやすく、すんなり納得できて。私たちのニーズを的確にくみ取り、形にして提案してくれた点が大きな違いでした。
塩野:いただいた要件リストを確認したところ、多くは標準機能で余計なカスタマイズをせずに実現でき、コストを抑えたご提案ができました。初期提案ではページ内ページャーや関連商品のリンク機能なども盛り込み、短い期間で要望を反映させることができました。
内田様:大がかりな追加開発が必要ないことが分かり、低コストで進められることが見えたのも大きな決め手です。シフトさんは一つひとつ丁寧に読み取り、「これは標準で対応できます」「これはこうすれば実現できます」と明確に答えてくれました。
抜け漏れゼロ、安心して任せられる要件定義
―リニューアル作業はスムーズに進みましたか。
内田様:これまでにも何度かサイトリニューアルを経験していますが、こんなにスムーズに要件定義が進んだのは初めてでしたね。要件定義で一番困るのは、お願いしていたことが抜けて見積もりに入っていなかったり、ワイヤーフレームの重要な部分が後から出てきたりすることです。これまでのサイトリニューアルでは「こんな要望だったとは思わなかった」とか「大事なタイミングで確認が漏れていた」といったすれ違いがありましたが、今回はそういうことがなく安心して進められました。
塩野:旧CMSが特殊な仕組みだったので「こんなことまで手動でやっているのか」と驚く点も多かったのですが、内田さんが漏れなく伝えてくださったので、スケジュールや進行に大きな支障はありませんでした。
濱野:通常は、運用している担当者が上長に相談してからプロジェクトを進めるケースが多いんです。その場合、定例ミーティングで宿題ばかりが積み上がってしまうのですが、内田さんはその場で即答してくださったので、非常に進めやすかったですね。
内田様:シフトさんは、議事録で過去を振り返りにくい形式ではなく、リストにして見える化してくださったので、お互い抜け漏れなく、確認しやすかったです。要件定義のタスク管理ができない会社さんって意外と多いんです。また、以前は「こういう方法にすれば費用を抑えて実行できませんか」とこちらが代替案を考えないと進まない場面もありましたが、シフトさんは「この方法なら費用をかけずに実現できます」とスパッと提案してくださいました。
特殊な旧CMSに苦戦するも、連携で乗り越えた移行作業
―社内での合意形成はどのように進めていきましたか。
内田様:要件定義は基本的に私とプロジェクトメンバーで進めました。打ち合わせが終わった後には必ず「次のシステムではここを改善する予定です」とポイントを現場担当にも共有し、「追加の要望や気になることがあれば教えてください」と声をかけていました。後から「そんなはずじゃなかった」と不満が出ないように、常に周知を意識していましたね。
―データ移行やURL設計では苦労もあったと伺いました。

内田様:旧システムの仕様が特殊で、データ移行には本当に苦労しました。移行手順をExcelに落とし込み、1つずつ認識を確認しながら項目を潰してくださったのですが、それ以前にデータを取り出すこと自体、難航するとは思ってもいませんでした。
塩野:技術的には過去一番難しかった案件だったと思います(笑)。でも必要な情報をきちんと共有いただけたので、なんとか対応できました。
内田様:私自身、過去にWebプロデューサーやディレクターをしていた経験があり、その知識を生かしながら整理しました。システムが融通の利かないものだったので、最後まで手間はかかりましたが、シフトさんの抜け漏れのない進行のおかげで無事に移行を終えられてほっとしています。
デザインから運用まで、誰もが使いやすいサイト設計に
―サイト制作時に、特にこだわったポイントを教えてください。
内田様:園芸通信の利用者は30~60代が中心で、アクセスの75%以上はスマホからです。シニアの割合も高いので、操作しやすく、若い世代にも違和感のない“中間設計”を意識してデザインしました。園芸通信オープン時からの植物らしい温かみを感じられるデザインを残しながら、ボタンの大きさや文字サイズ、動作の統一などを見直し、細部までこだわりました。
また、スマホ利用が増えることを10年前から予測していたので、当時からモバイルファーストで設計していました。実機確認もスマホを優先し、PC版はスマホ版の後に調整する流れで進めていましたね。現在は予測通りスマホが主流になったので、前回以上にモバイルのUIに力を入れて構成しました。結果的に、デバイスの垣根がなくシニアにも若い世代にも使いやすくて、誰にとっても見やすいサイトになったのではないかと思います。

―制作や運用のしやすさという面では、どのような工夫をされたのでしょうか。
内田様:SITEMANAGEを導入してからは、管理画面のメニュー配置や色を自分たちでカスタマイズできるようになり、更新担当者が迷わず操作できる環境を整えることができました。
操作マニュアルもCMS内で共有し、ログインすればマニュアルがどこにあるのかすぐに確認できるようにしました。属人的にならず、誰が担当しても同じ手順かつ同じクオリティで作業が進められるようになったのは大きな変化です。CMS上でマニュアルを共有できるようになったことで、メンバー全員が安心して更新作業を行えるようになりました。
記事更新の手間を6〜7割削減、直帰率30%→16%に
―導入後の成果について教えてください。
内田様:記事登録や修正作業は、従来の6〜7割削減されました。以前は写真やテキストを登録する枠がそれぞれ決められていて、枠が足りない時は無理やりHTMLを記述して調整する必要がありましたが、今はパーツを追加する形で柔軟にレイアウトできるため、HTMLの専門知識も必要なく更新作業が格段に楽になりました。

特に効率化できたのは、ECへの関連リンク設定です。記事ごとに1ページずつHTMLでリンクを入れていた頃は、数百件の修正に1週間以上かかっていました。それがCSVによる一括処理で、2日で終わるようになったんです。今は「リンクを増やしてほしい」という要望にもすぐに対応できます。
さらに、連載の前後記事を自動で表示できるようにしたり、関連記事を登録しやすくしたことで直帰率が大きく改善しました。リニューアル前は30.23%でしたが、16.22%まで下がっています。旧CMSでは、HTMLを手作業で書き込んで対応していましたが、今は標準機能で簡単に設定でき、全記事に園芸通信内の別記事やECへの導線を容易に設けられるようになりました。
塩野:関連記事や前後記事のリンク設定は、内田さんから「HTMLを記述して手作業でやっているので自動化したい」とご相談いただいた部分でした。標準機能で対応できたことが、そのまま直帰率改善につながったと思います。
濱野:効率化がそのままEC送客増加につながったのは、このプロジェクトの大きな成果だと感じています。

「待たされない・迷わない」で作業ストレスがゼロに
―定性面ではどのような成果が得られましたか。
内田様:管理画面の動作が軽くなり、作業ストレスが格段に減りました。旧CMSでは記事を開くだけで何十秒も待たされることがあり、そのたびに作業が止まっていたんです。今は一瞬で表示されるのでテンポよく進められ、「今日中に終わらないかも」といった不安がなくなりました。
EC送客改善に関する大量のリンク修正の要望が入ったときに「どうやって反映しようか」と立ち止まる必要がなくなったのも助かっています。以前は実装方法の検討から時間を費やしていましたが、今では要望に対し、すぐに着手して反映できるようになり、実装へのスピード感と運用のしやすさを実感しています。おかげさまで、Google検索に導入された「AI Overview(AIによる概要)」によりPV数が昨対78.4%まで落ち込む中、EC送客数は昨対125.8%に増加し、新規ユーザーのEC送客率も2.4%から4.6%に改善されています。
―作業時間が短縮されたことで、どんな変化が生まれましたか。
内田様:ほかの主要業務に時間を回せるようになりました。私は新たに農家さん向けの紙媒体の編集も担当することになったのですが、移行前は余裕がなくてなかなか手が回らなかったんです。今は作業が早く終わる分、紙媒体にも時間を充てられるようになり、園芸通信の運営と並行して進められています。
導線を強化し、“売り込み”ではなく“つながり”を育むメディアへ
―今後の展望についてお聞かせください。

内田様:「園芸通信」は“売り込み”色を強く出すサイトではなく、園芸に関心を持つ新しいお客様との接点をつくることを目的にしています。ECサイトは既存顧客に支えられていますが「園芸通信」で新しい方々に来ていただくことで、結果的に新規顧客のEC送客にもつなげられています。SEOも意識しながらさまざまな園芸のお悩みやニーズに応え、今後も良質な記事と導線を積み重ねて、弊社のファンを増やしていきたいですね。
―最後に、SITEMANAGEはどのような会社におすすめでしょうか。
内田様:昨今、サイバー攻撃のニュースが多い中、予算が少なくてもセキュリティをないがしろにはできません。企業で運用するとなると、WordPressではセキュリティに不安があるケースも多いので、パッケージ型で安心して使える点は大きな強みだと思います。
濱野:WordPressはオープンソースなので、セキュリティが担保できないと企業では敬遠されることが多いです。その点、SITEMANAGEは標準でセキュリティを備えつつ、必要な機能を組み合わせて導入できます。
内田様:あまり費用をかけずにサイトを作りたい企業には向きませんが、公開までのスピードを重視しつつも信頼できる仕組みを作りたい企業には非常に適していると思います。Webの知識がなくても、分かりやすい言葉に置き換えて丁寧に説明してくださるので、その点も安心してお任せできると思います。
担当者からコメント
10年以上の歴史をお持ちのサカタのタネ様の園芸通信サイトの大型リニューアルに際し、SITEMANAGEをお選びいただき、誠にありがとうございました。ご提案からメインディレクションまで携わることができ、大変光栄でございます。
SITEMANAGEによって、以前ご不便に感じていらした点が解決できたと伺い、大変嬉しく思っております。ユーザーに合わせたデザイン・UIの調整や、旧システムからのデータ移行には苦慮する場面もありましたが、内田様の的確なご要望と判断力のおかげで、スムーズにプロジェクトを進行することができました。
至らない点もあったかと存じますが、内田様をはじめ、プロジェクトにご尽力くださった皆様に心より御礼申し上げます。
これからも園芸通信が多くの皆様に長く愛されるサイトとして発展していくよう、引き続き尽力してまいります。







