
ANAファシリティーズ株式会社は、ANAグループ内で不動産・保険・ファシリティソリューションを担う中核事業会社です。旧サイトは完全スクラッチで構築されており、保守費用の肥大化や、改修スピードの遅れ、複雑すぎる情報設計によるUI/UXの悪化など、マーケティングとシステムの両面で課題を抱えていました。
2024年、SITEMANAGEを導入し同社が運営するANAマイレージクラブ会員向け不動産サービス「ANAの住まい」、ANAグループ職域向けの「ANA Familia」、外部職域向けの「ANA Familia+」を大規模リニューアル。コンバージョンが昨対比約4800%増という驚異的な成果を叩き出しました。本プロジェクトを牽引した不動産事業部の水戸部様、藤田様に、リニューアルの背景から圧倒的な成果を生み出した開発プロセスまで、詳しくお話を伺いました。
事例概要
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企業名 |
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| 会社概要 |
業種 :不動産 |
| 支援内容 |
会員制ポータルサイトのリニューアル |
| 導入前の課題 |
・軽微な改修でも時間と高額なコストがかかり、施策が停滞していた |
| 導入後の効果 |
・コンバージョン数:昨対比約4800%増、会員登録数:昨対比247%増 |

サイト紹介
ANAマイレージクラブ会員を主なターゲットとし、住宅の購入・売却・賃貸・リフォームなどを幅広くサポートする不動産サービスサイト。提携会社が提供する物件情報から、マイルが貯まる「住まいるチケット」の発行までをシームレスに行う。一般向け、ANAグループ職域向けなど、緻密な権限管理のもとで展開されている。
目次
スクラッチ開発の限界。PDCAを回せずに機会損失
―まずは、貴社の事業内容と「ANAの住まい」の役割について教えてください。

水戸部様:当社はANAグループ内で、不動産、保険、そしてファシリティソリューションの分野を担う事業会社です。不動産領域では、ANAマイレージクラブ(AMC)会員様をはじめとするお客様に向け、約80社の不動産提携会社の商材をご紹介する「ANAの住まい」を展開しています。会員様が当サイトを経由して成約されると、ご成約額等に応じてマイルが貯まるという、グループならではの強みを活かしたサービスです。
―リニューアル前の旧サイトでは、どのような課題を抱えていたのでしょうか。
藤田様:最大の課題は、サイトの「改修コスト」と「スピード」でした。旧サイトは完全なスクラッチで構築されていたのですが、保守費用が非常に高額な上、WEB広告を回して「ここを直せばもっと成果が出る」という仮説が立っても、少しの修正を外部の制作会社に依頼するだけで莫大な費用と時間がかかっていました。
水戸部様:費用が発生するとなれば社内稟議が必要になり、修正が完了する頃には数か月が経過してしまう状態でした。PDCAを回したくてもシステムの仕様に足止めされてしまうことが、マーケティング上の最大のボトルネックでした。
―ユーザー(お客様)からの使い勝手という面ではいかがでしたか。
水戸部様:旧サイトは、大手不動産ポータルサイトに真っ向から勝負を挑むような設計になっており、全サービスがトップページに詰め込まれていました。しかし、我々のような特定のターゲット(AMC会員様など)に強みを持つサービスは、ユーザーをカテゴリごとに適切に誘導すべきです。それができずに離脱を招いていたのは致命的でした。
藤田様: お客様からも「スマートフォンでの使い方が分からない」「情報が見つけづらい」といったお問い合わせを直接いただくことがありました。ストレートに「分かりづらい」と言われてしまう状況を、なんとか根本から改善しなければという強い危機感がありました。
ランニングコストと「セミスクラッチ」の柔軟性が決め手
―数あるシステムの中から、SITEMANAGEを選ばれた理由を教えてください。
水戸部様:必須条件は、内製で即座に改善できる運用体制とランニングコストの圧縮でした。シフトさんから提案されたSITEMANAGEは、必要な機能を組み合わせて構築するセミスクラッチの仕組みだと伺いました。使いたい機能だけを選んでカスタマイズでき、将来的な拡張性も高い。この汎用性の高さが、私たちがまさに求めていたものでした。
重森:2024年の夏頃に初回のお問い合わせをいただいた際、水戸部様や藤田様から「PDCAがなかなか回せない」「保守費用が高額すぎる」「良いサービスなのに会員が伸び悩んでいる」という切実な課題を伺いました。弊社としても、この素晴らしいサービスをなんとか改善したいと強く思い、マーケティングチームやクリエイティブチームと一丸となってご提案に臨みました。類似サイトの構築ノウハウもありましたし、「どうしてもこのプロジェクトはうちでやりたい!」という熱意を持ってアプローチさせていただきました。
藤田様:以前は外部発注のコストと手間で断念していたLPの改修も、今は管理画面から自分たちで即座に対応できます。「あ、じゃあこれで直しておきますね」と、その日のうちにPDCAを回せるようになったのは、スピード面でも非常に大きな決め手でした。
―ANAグループならではの、複雑な権限管理も課題だったと伺いました。
藤田様:はい。ANAグループの社員だけが使える職域サイト(ANA Familiaなど)では、メールアドレスのドメインでアクセス制御をかけています。グループは規模が大きく、会社の追加や統合が頻繁にありますが、以前のシステムではドメイン追加一つに2か月かかり、その間はサービスを提供できないという機会損失が生じていました。
水戸部様: 導入後は、管理画面からポチポチッと入力するだけで、数秒で設定が完了します。あの時の苦労は何だったのかと思うほど、業務が劇的に効率化されました。機会損失を恐れずに新しい施策を打てるようになったのは、精神的にも大きな変化です。
80社の提携企業を巻き込む。既存CSVを活かした使われるシステムへ
―開発プロセスにおいて、特に印象的だった点はどこでしょうか。
岡本: 印象的だったのは、旧システムからのデータ移行です。当時の開発メンバーが不在で仕様が不明な中、10時間を超える打ち合わせを重ねてデータを一つひとつ紐解いていきました。物件情報、会社情報、さらには複雑なマイル付与の計算ロジック(成約金額の入力値に応じて、最終的にユーザに付与されるマイル数が自動計算される仕様)などをどう新しい構造に変換するか、まさにパズルを解くような作業でした。
藤田様: 実は、前の保守会社さんに「データを出してほしい」と依頼したところ、「サーバーに入って自分で取り出してください」と言われてしまい、システム担当ではない私たちは途方に暮れていたんです。データの抽出方法すら分からない状態でしたし、旧サイトと新サイトで名称やIDが変わるものもあり、手作業では到底終わらないと頭を抱えていたのですが、シフトさんから「AIに変換ルールを読ませて処理しましょう」と具体的なアドバイスをいただき、見事にルール化できた時は本当に感動しました。
―提携会社様が利用する管理画面についても、工夫されたのでしょうか。
藤田様:私たちのビジネスは、提携会社様が情報を登録してくださらなければ始まりません。提携会社様側の入力負担を徹底的に下げるため、SUUMOなどの大手ポータルへの入稿で使い慣れている既存のCSVフォーマットを流用し、そのまま一括で取り込める仕組みを構築しました。
岡本:ワイヤーフレーム(※1)を作成する段階から、CSVで流れてくるデータ項目とシステム上の表示要素を一つひとつ照らし合わせ、不要な項目は削るなどの取捨選択を行いました。手動入力画面も「見たまま入力」ができる直感的なUIにしましたし、各提携会社様のITリテラシーに差があっても、誰もが迷わず操作できることを最優先に設計しています。
(※1)ワイヤーフレーム:ページの構成や情報の配置、導線を整理した設計図。
ANAブランドの品格と「ワクワク感」の両立。独自性を引き出すデザイン
水戸部様:デザイン面では、ANAブランドと不動産サービスの融合がテーマでした。「ANA」というブランドの品格を保ちつつ、生活者に寄り添う親しみやすさをどう出すか。言語化できない私たちのこだわりを、シフトさんは見事に形にしてくれました。
重森:提案の際、クリエイティブディレクターの金子とともに「どうやったらもっと使いやすくなるか」を考え抜きました。ただシステムを新しくするだけでなく、サービスの幅広さや「マイルが貯まる」という最大の魅力を、サイトの中でどうすれば一番アピールできるか、その構成に落とし込むことを強く意識してご提案させていただきました。
金子:サービスページのワイヤーフレームを作成する際、まずはユーザーに「このサービスがどういうものか」を正しく理解していただき、そのうえで藤田様、水戸部様とイメージのすり合わせを行いつつ、シフト社内のデザイナーと協力をして「旅行に行くワクワク感」を絶妙にミックスする方向性を探りました。また、コンテンツを自由に入れ替えてもデザインが崩れない柔軟なレイアウトを設計し、運用のしやすさと美しさを両立させています。
竹田:トップページでのキャンペーンの表示導線には特にこだわりました。お客様がサイトを訪れた瞬間にワクワクし、迷わず最初のアクション(検索や詳細閲覧)を起こしたくなるような情報の整理を意識しています。私自身も旅行が好きなので、デザインを見ながら「これは絶対に魅力的なサイトになるぞ」と自画自賛していました(笑)。
水戸部様:マイル訴求の見せ方も、かなり具体的なものになりました。以前は単に「〇〇マイル付与」と数字を表示するだけでしたが、今回は「9000万円の新築マンション購入で合計9万マイル=東京から〇〇まで往復2人分」といったように、具体的な旅行体験に紐づけて表現しました。
家を購入した直後は、どうしても節約モードになりがちなんです。しかし、そこを諦めるのではなく「家を買ったおかげで、ご褒美として贅沢な旅行に行ける」という付加価値を視覚的に表現できたことは、ユーザーの心に刺さる強力な武器になりました。他社には真似できない、ANAグループならではの訴求だと自負しています。
重森:ほかのサイトにはない機能として、トップページでは各セクションのコンテンツを上下入れ替えることが出来る機能も実装しましたね。Webページ上のユーザーの行動を分析したうえで変更が出来るようになるので、今後活用いただけそうですね。

CV数4800%増の衝撃。会員登録数は昨対比247%に
―リニューアル公開後、具体的な数値としてどのような成果が現れましたか?
藤田様:最も重視していた「住まいるチケット(※3)の発行数」が、昨対比約4800%増という驚異的な伸びを記録しました。会員登録数も、リニューアル後の12月頃から昨対比の約2倍で推移しており、直近では昨対比247%を記録しています。クーポンを複数物件まとめて扱えるカート型に刷新した利便性の向上が、大きな成果に繋がりました。
(※3)住まいるチケット:ANAの住まいを通じて住宅の購入やリフォームを行う際、ANAマイルが貯まるデジタルチケット
水戸部様:これまでずっと事業部のボトルネックだった部分が、SITEMANAGEによって完全に解消されました。「正しい仕組みと導線があれば、これだけ成果が取れるんだ」ということを社内に証明できた意義は、数字以上のインパクトがありました。
―費用対効果の面ではいかがですか。
水戸部様:CPA(顧客獲得単価)が劇的に改善しました。不動産業界の水準では5万円〜10万円ほどかかるCPAが、今回のリニューアルにより、約3万円という低単価まで下がったんです。カテゴリごとにLPを出し分け、ユーザーが最短距離で目的に辿り着けるようになった結果です。低予算でも成果を最大化できる体制が整いました。
―マネジメント面での変化も大きいようですね。
水戸部様:顧客のステータス管理を4段階から13段階へ細分化したことで、営業プロセスが完全に可視化されました。「なぜ失注したのか」「提携会社様がお客様へのコンタクトを忘れていないか」が管理画面で手に取るように分かる。データに基づいた、精度の高い営業マネジメントが可能になりました。また、カスタムエクスポートのおかげで対象データを必要な項目だけ出力することもできるようになり、管理工数を削減することが出来ました。
藤田様:管理画面の使いやすさは実務担当者からも好評です。システム上の専門用語を私たちが使い慣れた社内用語に自由に変更できる機能のおかげで、誰もが迷わず操作できる環境が整いました。以前は管理画面を開くのも億劫でしたが、今は直感的に触れるので、チーム全体のモチベーションも上がっています。
竹田:プラグインの名前を社内用語に変更できる機能は、ほかのお客様からもご要望が多かった部分です。システムに人が合わせるのではなく、運用する人にシステムを合わせるのがSITEMANAGEの思想ですので、実務担当の皆様に喜んでいただけて何よりです。
データ活用とDX推進へ。サイトを「維持」から「活用」するステージへ
―今後の展望についてお聞かせください。

藤田様:これまでは「サイトを維持する」ことだけで精一杯でしたが、SITEMANAGEを入れたことで基盤が整い、ようやく「サイトを活用する」というスタートラインに立てました。API(※4)連携によってメルマガ配信の自動化も実現しましたが、今後は実績報告や請求書発行といった事務作業もシステム内で完結させるなど、さらなるDXを推進していきたいです。
水戸部様: 今後は蓄積された成約データを活用し、AI等を用いたより高度なターゲティングやCRM施策を展開して、住まいの認知度をさらに広げていくことがミッションです。自社でデータを保有し、それをマーケティングに直結させられる環境が整ったことが、今後の武器となります。
(※4)API:アプリケーションやソフトウェアとプログラムをつなぐこと
―最後に、SITEMANAGEはどのような企業におすすめでしょうか?
藤田様:取扱っている製品や提携先が多く、かつ情報の更新頻度が高い会社には非常におすすめです。また、当社のように「サイト管理の工数を極限まで削減して、本来のマーケティング業務や広報業務に時間を充てたい」と悩んでいる担当者の方には、これ以上ないパートナーになると思います。
水戸部様:スクラッチ開発の不自由さに悩んでいるなら、迷わず検討すべきです。複雑な計算ルールや独自のカテゴリー構造、さらに外部との入り組んだ権限設定があっても、シフトさんの高い技術力とSITEMANAGEの柔軟なカスタマイズ性があれば、必ず理想の形に落とし込んでくれるはずです。「システムが障壁で動けない」という状況から脱却したい企業に、ぜひおすすめしたいですね。
担当者からコメント
ANAファシリティーズ様の「ANAの住まい」をはじめとした全3サイトリニューアルに携わらせていただきました。サイト制作のパートナーとして当社をご選定いただき、心より感謝申し上げます。
リニューアルコンペ時より、社員一同全力で提案させていただきました。リリース直後から実際に数値にまで成果が反映出来て非常に嬉しく思います。
「シフトに依頼してよかった」と思っていただけるよう、作って終わりではなく、これからも伴走支援をさせていただければと存じます。
単なるシステムリプレイスではなく、運用コストの削減やユーザビリティの改善等、達成したい目的に合わせて提案・伴走支援いたします。お困りの方はぜひお問い合わせください。
今回、要件定義フェーズからではありますが、ANAファシリティーズ様の案件に、携わることができて非常に嬉しく思っております。
フルスクラッチのシステムからのリプレイスということで、元々作りこまれた機能をひとつずつ紐解くことや、新機能としてご提案した内容をどのように落とし込んでいくのか。など、私自身にとってチャレンジ案件ではありましたが、水戸部様・藤田様をはじめとした皆さまのご協力もあり、とてもよいサイトに仕上がったかと思います。
実際に運用が始まってからしばらく経ち、新たに顕在化してきたご要件もいくつかいただいておりますので、引き続きよりよいサイトを目指して尽力してまいります。





