公益財団法人キープ協会が運営する清泉寮 は、山梨県北杜市 標高1,400mの清里高原に位置する複合観光施設です 。宿泊施設、レストラン、ソフトクリームショップ、ミュージアムなど、八ヶ岳を代表する高原リゾートとして、年間を通して多くの人々が訪れる場所です。また、環境教育や牧場運営など、多岐にわたる事業を行っています。

今回、スマートフォンや多言語に対応していない旧サイトに課題を感じ、全面的なリニューアルを行いました。リニューアルにあたり、SITEMANAGEを導入したところ、全体のデザインに統一感が生まれ、更新の手間も軽減されました。

本プロジェクトに携わった企画部の村田様、秦様、五味様に、SITEMANAGE導入の決め手やサイト制作にまつわるエピソード、リニューアル後の反響などを伺いました。

スマホ・多言語非対応のサイトを全面的にリニューアル

―最初に、今回リニューアルされたWebサイトについて教えていただけますか？

秦様：キープ協会が運営している「清泉寮」 のWebサイトをリニューアルしました。以前のWebサイトは、スマートフォン対応や多言語対応ができておらず、なんとかしたいという思いがありました。

清泉寮は、ホテル業、レストラン業、ショップ運営、農場経営、自然体験プログラムなど多岐にわたる事業を行なっています。また、清里開拓の父「ポール・ラッシュ博士」の功績や博士が遺した事業の次世代への継承など、歴史や伝統を伝えるミッションもあります。それらを全部まとめたWebサイトを作ろうとすると、単一業種のWebサイトの型に収まりきらず、手を持て余していました。そこで、プロの方に一緒に考えていただきたいと、サイトのリニューアルをお願いする企業を探し始めました。

五味様：旧サイトは、秦と私の二人で更新を担当していました。CMSを使用していなかったのでデザインの自由度が高い分、担当者ごとに文章の書き方や見た目にばらつきが出ていました。

秦様：自分たちでプログラムを作ったり、スタイルシートを調達したりしてサイトを作成しても、スマホで見たら崩れてしまったりしていましたね。

―どのような経緯で、リニューアルを担当する企業を選定されたのですか？

秦様：まずは、Web制作会社を斡旋してくれるサイトに登録しました。サイトの予算や目的などを提示すると、6社が手を挙げてくれました。その中の1社がシフトでした。

6社から概算見積もりをもらい、オンラインで説明を受けましたが、千差万別でしたね。こちらが提示した予算の半分くらいでできますよという企業もいれば、そんな金額ではとても難しいですという企業もいました。

プロジェクトに伴走する姿勢を重視したパートナー選定

―シフトを選んだ決め手は何だったのでしょうか？

秦様：決め手になったのは、費用ではなくて、どれだけ自分たちのために一緒に考えてくれそうかということでした。今回リニューアルしたいサイトは業種が多岐にわたり、サイトに載せたい内容も絞り込めていない状態でした。シフトさん以外の企業からは、効率的に進めて安くできることを強調したご提案が多かったんです。一方シフトさんは、まだ何も決まっていないなら一緒に考えるところからやりましょうというスタンスでした。だから、予算よりも「人」で選ばせていただきました。

―サイトリニューアルまでの流れを教えてください。

清水：キックオフしたのは、2024年7月半ばです。最初は実際に現地にうかがって、打ち合わせをしました。どのようなお仕事があるのかを理解するために、全施設をご紹介いただきました。

そこから4か月ほどは打ち合わせを重ね、内容やデザインを検討し、冬からコーディングを始めました。実際にリニューアルしたサイトがオープンしたのは、2025年5月です。

各部署との意見調整と合意形成に丁寧に寄り添う

―今回のリニューアルでは、関係部署が多く、社内調整にも時間を要したのではないでしょうか。どのように合意形成を進めていったのか教えてください。

村田様：キープ協会には10の事業部があり、約100人が働いています。各事業部長にヒアリングをして、全社アンケートを2、3回取りました。その後は、サイトの内容についても全社に確認をお願いしました。役員や事業部長だけでなく、臨時職員も含めて意見を吸い上げながら、シフトさんへのフィードバックに含めるようにしました。

当初は営業内容に特化したサイトにリューアルしようと検討していましたが、途中で方針転換があり、キープ協会で働くみんなが納得できるサイトにしようという方針に変わりました。そこで、またゼロからサイトのあり方を考え直しました。サイトの中身を練り上げるのも初めてで、どうしていいかわからないところからスタートし、シフトさんにお返事を待っていただいたこともあります。そうした過程にも嫌な顔をせずにお付き合いくださったところも、みんなが満足できるサイトができた理由の一つかと思います。

利用者目線と運用性を両立したサイト設計

―今回のサイトを作る過程で工夫した点はありますか？

清水：本当にさまざまな施設やサービスがある中で、何をどう見せるのかが、一番の課題でした。どの事業も平等に大切にしているキープ協会様のご意向を踏まえつつ、お客様にとって使いやすいサイトになるよう、ご提案させていただきました。

安野：我々は普段はシステム開発のお仕事をさせていただくことが多いんです。たとえば、BtoBの在庫管理システムなどは、ビジュアルとしてはかっちりしたものを作ることが多くなります。しかし、今回は施設のサイトということで、お客様を意識したデザインになっていると思います。

岡本：一番印象に残っているのは、イベントというプラグインです。宿泊の予約を受け付けるサイトでもあるので、そこへの入り口としてのページを作るのがイベントプラグインの役割です。先ほどのお話にもあった通り、ここはフロントの方も更新されるということだったので、使いやすさを重視してつくりました。

あとは、宿泊予約のサイトなので、「予約受付中」「残りわずか」など部屋の残数を算出して表示する仕組みが必要でした。個人的には、その仕組みを考えるのが難しくもあり、面白くもありました。

更新の手間が軽減し、誰でも運用しやすいサイトに

―実際にSITEMANAGEを導入されてみていかがですか？

五味様：SITEMANAGEでは、デザインのテンプレートがある程度決まっています。それらを組み合わせてページを作ることができるので、デザインに困ることがなくなり、サイト全体に統一感が出ました。

秦様：以前、キープ協会のサイトでは別のCMSを使っていて、すべてのページを基本的な数種類のテンプレートで表現していました。これは、多種多様な事業があるキープ協会のことを知ってもらうWebサイトにとって、自由度の低いCMSは致命的でした。また、事業部ごとにWebサーバーの管理をしていたため、サーバーの中に、いくつもの管理ルールが混在するというカオス状態でした。当時のCMSはとても順調な運用とは言えず、CMSにいいイメージを持っていませんでした。

SITEMANAGEを導入してからは、そうした状況が大きく改善されたので、更新業務にかかる時間が減り、作業効率が大きく向上したと実感しています。

磯野：リニューアル後はウェブ担当のお二人以外にも、ホテル部門のフロントスタッフの方たちが、宿泊プランなどを自分たちで更新されるようになったとお聞きしました。

五味様：そうですね。SITEMANAGEは、初めてでも使いやすいので、担当者以外でも更新がしやすくなりました。今後、ほかの部門にも広げていければと思っています。

―ユーザーからの反響はいかがでしたか？

村田様：広報として、一般のお客様やメディアの方にご案内する場面が多いのですが、スマホでサイトを見せながらご案内しやすくなりました。以前は、「清泉寮のどこがおすすめですか？」と聞かれても、Webサイトから探すのが難しく、待っていただく場面がありました。いまのサイトは、画像の大きさやご案内の文章もちょうどいいので、スムーズにお見せできるようになりましたね。

社内からも、内容が整理されて見やすくなった、お客様に対してご案内しやすくなったという声が多々あります。

6か国語への多言語対応を実現

―リニューアル前に課題に挙げられていた多言語対応も実現したのでしょうか？

秦様：そうですね。以前のサイトでは、画像の中に入っている文章など、翻訳ソフトを使っても外国語で表示できない部分が多くありました。今回は、タイや台湾などインバウンドでいらっしゃる方が多い6か国語に対応することができるようになりました。

多言語エンジンは外部ツールを使っているのですが、それに準拠した元データでないと、きれいに翻訳できないんです。SITEMANAGEの場合、特別な作業をせずともさまざまな言語に翻訳でき、とても満足しています。

岡本：多言語対応については最初から課題の一つとして挙げられていたので、丁寧にすり合わせをさせていただくようにしました。画像によって翻訳できない部分が発生する場合は事前に確認し、補足のテキストを出すなどのご提案させていただきながら調整していきました。

公益活動を支える寄付者への情報発信を

―今回のリニューアルで、印象に残ったことを教えてください。

磯野：サイト上で伝えたい情報が非常に多かったので、サイトの動線を考えることに時間をかけました。毎回キープ協会の皆さんが一番大事にしたいことは何かということに立ち返りながら、プロジェクトを進められたことが良かったなと感じています。

村田様：磯野さんがおっしゃったように、私たちの最大の課題は発信だと思っています。私は地元育ちですが、東京からUターンして戻ってきた時に、キープ協会には清泉寮のソフトクリームのイメージくらいしかありませんでした。実際には、教会もあるし、牧場もあります。良いものがたくさんあるので、もっとたくさんの人たちに届くように、今後も引き続きご支援いただきたいなと思っています。

―今後の展望がありましたら、お聞かせください。

秦様：私たちは公益財団法人なので、さまざまな方から寄付をいただいて活動しています。今後、そうした寄付を集めるサイトをつくっていきたいと思っています。

村田様：清泉寮は、開拓当初から現在に至るまで多くの個人や企業の方にご支援いただきながら、運営してきました。私たちは公益財団法人なので、業務を公益業務と収益業務にわけています。公益業務にご寄付をいただくと、税金控除の対象になり、寄付をしていただいた方にもメリットもあります。私たちも頂いたご寄付に、胸を張って応えられるような事業をおこない、サイトを通していっそうご支援いただけるような発信をしていきたいと思います。

―最後に、SITEMANAGEはどのような会社におすすめでしょうか？

秦様：SITEMANAGEもそうですが、シフトさん自体をおすすめしたいですね。いろいろな相談にきっちり乗ってくれる会社だと思います。相談に対して担当の方だけでなく、必要とあればマーケティングなどほかの専門の方も同席するなど、会社全体で対応していただいていると感じました。

これは私も同じ業界にいたとき、やろうと思ってもなかなかできなかったことだったので、きちんとした会社だなという印象を持ちました。プランニングなどが決めきれない会社は、ぜひシフトさんに相談してください。